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そのへんの偉人 「山とまちを繋ぐ仕事」小川隆文さん

告知からずいぶん遅くなりましたが、まち・ひと・ものづくりを繋ぐ連載が始まります。

Nishitokyo CRAFT BASEはものづくりのワクワク感をシェアするコミュニケーションショップとして、クラフトワークショップ、カフェやギャラリー、イベントスペースとして運営をしています。

そのコンセプトには地域・ひと・ものづくりを繋げるというテーマがあって、この連載ではその役割を担う企画にしたいと考えてます。

ものづくりの場所があるだけでは、少し話すだけでは伝わらないこと、知らないことがたくさんあります。

私たちの地域にいる「偉人」にインタビュー形式でお話を聞いていこうと思っています。

記念すべき一人目は、NCBのワークショップで使用している木材を自社の山から切り出して、製材して卸していただいている丸志木材、東京支店の支店長である小川さんにお話し聞きました!

 

 

 

山と木と働き方

―今の仕事を始めたきっかけは?

前職は公務員だったんですが、結婚をして、奥さんの実家を訪れるために静岡県の天竜に行ったのが最初です。そこで、静岡県の天竜地区が限界集落だってことを目の当たりにしました。自分も新潟県の出身なので何となくは地方に人がいなくなるのは理解していたのですが、ここまでとは・・・。けっこう衝撃を受けましたね。天竜という場所は斜面も急な険しい環境で、農業や漁業も盛んではなく、林業という一次産業しかないところです。年に何回か訪れるようになってくると、その場所の状況がだんだん自分ごとのようになってきたんです。林業を何とかして地域を盛り上げていきたいなと思い始めました。 

 

天竜の山は険しい斜面が多い

 

―なるほど。材木屋さんはどんな仕事ですか。

天竜で育てて製材した木を首都圏で販売・供給をしています。首都圏で良質な天竜材を喜んで使っていただき、それが山を手入れする元手となり、山や地域が少しずつ潤う。それってとてもいい循環だなと思えたんです。元々公務員になったのも、少しでも世の中の役に立つ仕事がしたかったからなんですが、この仕事は林業とまちをつなぐ仕事だと思いました。

 

 ―林業とまちを繋ぐ仕事、素敵ですね!実際に働き始めてイメージとのギャップはありましたか。

思っていたより国産材が使われていない現実があったことですね。国産材がお客さんから遠い存在になっています。国土の約3分の2(66%)を森林が占める世界有数の森林国なのに、国産材の自給率が35%弱しかないです。これでも数年前からは上がってきているんですけどね。自分たちのPR不足もあると思っています。林業はスパンが長い仕事でして、植樹したものが伐採に適する大きさになるまで短くても40、50年程度かかります。そうすると自分たちの世代では完結せず、次の世代、その次の世代でようやく使えるものになるんですね。家が受け継がれていくのと似ていますが、林業は世代を繋いでいくという仕事の重みも感じますね。木が循環することは山を守ることでもあるので、それはこの仕事の魅力でもありますね。

 

―ひと世代では完結しない仕事!なんかロマンチックですね。

現在山にある木々たちは、植樹されて約70年。材料としては適齢期なんですよ。今年の5月にはクリーンウッド法が施行されました。これは違法伐採をなくすための日本の法律です。伐採した木の産地、工場が明記され、その材が山として循環した仕組みを評価します。60~70年の適齢期の木を切ってあげて、若い木を植えることは山の為には必要なことなんですよ。

 

管理されている山にもある自然の美しさ

 

―適齢期の木が植わっていると山には良くないのですか?

70年過ぎた木は成長度合いがかなり平坦になってきます。つまり成長しないということは、根から水分を吸収する力が弱くなったり、光合成をおこなって二酸化炭素を吸って酸素を吐きだす効率が落ちてきます。なので、山にとって好ましい状況ではないですね。

山の自然が循環するよう適正に伐採したのち、計画的に植樹します

 

 

山から住まいへ

―丸志木材さんでは、山から切った木を製材して販売してらっしゃいます。木を扱うおもしろさって何ですか?

木は自然のものなので、同じものがないところですね。同じ樹種、同じ産地でもすべて異なります。一本一本、その木の特徴や目を見ながら、どういうふうに製材しようか考えます。この木は柱にしよう、とか。一本の木からいろんな用途に分けて製材します。これは、とても職人的な部分ですが、同じ柱を製材するにしても職人ごとに少しずつ異なります。ただ単に製品を右から左に流しているわけではないので、一つ一つ手に取って確認して責任をもってお客様に提供しています。それは面白さであり、難しさでもありますね。といっても私は、製材していないんですけど。(笑)

 

―笑。一つずつ異なると、販売する側としては気をつかいますよね?

そうですね。よく「“木”づかいしろ!」って職人さんから言われます。笑 製材して出荷するまでに乾燥もさせます。今は機械で乾燥させていますが、水分を抜く既定の数値の先をどうするかは悩みながら取り組んでいます。ただ乾燥させればいいわけではなく、木の水分量を適正な数値に保ちながら、なるべく木の成分を抜かないように心がけています。これは熟練の目がないと判断が難しいです。

 

植樹してから伐採、製材して供給するまで全て自社一環で行っている

 

―まさに職人技ですね。

やっぱり数値だけではなくて、きちんと木を見られる職人さんがいないとできないことですね。

 

 

職人さんの目利きあってこその製材の仕事

 

―そんな林業でも課題はありますか?

林業を担う若い人がいないことが一番の課題ですね。静岡の天竜は立地がかなり険しいということもありますが、体力面の不安以外に経済的に安定的な働き口があまりないというのは理由として挙げられると思います。静岡県には林業高校があって学生もいるんですけどね、なかなか仕事として繋がっていないですね。なので、働き方を含めて仕事の体制を整備していくのも自分たちの仕事だと思っています。

 

―その課題に対して何か対策を立てていますか?

実は今年、天竜で事務所を新しく新設する予定です。体験ハウス、兼事務所になります。これから働く人にとって快適な環境を整えつつ、知ってもらえる場にしたいと考えています。

 

製材した木材の倉庫

 

 

国産の木、地域の木

―丸志木材さんが扱っている天竜の木の特徴を教えてください。

木は外側に大きくなっていきます。そこを白太というんですが、成長していくと中心の木の芯は赤身になっていきます。中心部にある赤みのある良材は、水やシロアリに強いといわれていますが、天竜の山は急斜面で過酷な環境で育ったからか赤身が多く強い木が多いですね。

 

赤身の芯と白太がくっきりと分かれている天竜の山の木

 

―成長の仕方で木の特徴は変わってくるものですか?それともエリア?

そうですね、やはり産地だと思います。温暖な地域の木は育つスピードが早いので年輪の間隔も異なります。そういった特徴が産地ごとで異なりますね。厳密には同じ樹種でも品種が異なるということもあるかもしれませんね。時代を遡るといくつかルーツはあると思います。

 

―最後に今後の目標を聞かせてください!

「休」という字は人と木が寄り添うようにできていて休むという意味があります。木は自然のものですから、日本の住宅のように木をたくさん使った家が人に気持ちのいい空間である思っています。そこに使われる木は国産、さらに言えば天竜の木であってほしいですね。国産材って価格が高いというイメージがありますが、今は外材と比べてもそこまで高くはありません。厳密にはそれぞれにかかってくる手間コストや輸送コスト等、項目や背景が異なるので一括りに比べられませんが、説明させていただければ納得して頂ける価格だと思います。木の使い方も構造材だけではなく内装等に使われるよう今後、木の良さをさらに伝えていきたいですね。そのうえで木をもっと身近に感じられるような製品の提案も考えたいなと思っています。

 

美しい天竜の山々、この景色と林業を守っている

 

―ありがとうございました。いつか天竜の山にもおじゃましたいです!

是非遊びに来てください!ご案内します!

 

 

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